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【質問コーナー】フリーター・ニート向けの人材紹介で起業。武田所長が語る"勝ち筋"とは?

語り手:武田所長
『スモールビジネスの教科書(実業之日本社)』著者 / Biz library共同創業者
大学卒業後、戦略系コンサルティングファーム退職後20以上のスモールビジネスを展開し、それぞれ売上年間数百万円~10億円。トレンディ・ハイリスクなベンチャービジネスではなく、安定的で着実に利益を生み出すスモールビジネスを推奨。強い個人が活躍する時代を作るという狙いのもと、スモールビジネスに関する情報発信を行う。

この記事の内容は動画でもご覧いただけます。

問1:フリーター・ニート向け人材紹介で起業するポイント

人材紹介で起業を考えております。年収300万円以下のフリーターやニートを対象にした未経験から正社員への領域を狙っています。かなり競合が多いイメージですが、逆に大手はあまり手を出していない印象です。中小零細も多いので、チャンスもあるかと考えています。何か気をつけるべきポイントはありますでしょうか?

シンプルに捉える

ビジネスはどんなものでも「あれもやった方がいい、これもやった方がいい」と思うと頭が混乱してしまう。重要なのは「この事業はこれとこれを成功させれば良い」とシンプルに絞ること。

人材紹介ビジネスの場合、キーポイントは3つ:

  1. 集客 - 候補者(転職したい人)を効率的に集める
  2. 面談 - 候補者とのキャリアアドバイス面談でグリップする
  3. 営業 - 転職先となる企業開拓

大手企業がこの年収300万以下という領域に手を出さない理由は単純で、単価が低いからだ。年収の何%かが報酬となるため、必然的に収入が低くなる。

大手は効率を求めるから年収400万から800万ゾーンを優先する。しかも800万の人と250万の人ではキャリアや考え方が全く違う。同じノウハウでは機能しない。別の時間に行く割に単価は低い。面倒くさいと見られている。

スモールビジネスの定番戦略、「大手のゴミ拾い」をしなさい!

それぞれの要素で「発明」をする

集客、面談、営業のそれぞれで、自分なりの方法を見出さなければならない。これは大げさに言えば「発明」だ。

例えば集客では、現実的な広告費の中でどう候補者を集めるか?

  • TikTokで踊る?
  • YouTubeで人生逆転チャンネルを始める?
  • リスティング広告?

これはわからない。自分に合った方法を見つけるしかない。話すのが得意ならYouTubeが最適かもしれないし、TikTokに慣れているならそれが最適かもしれない。

自分で試行錯誤するしなさい!

徹底的な先行者調査

先行者がどうやっているか入念に調べることが大切だ。彼らは苦労して自分に合う方法を見出してきた。

最も簡単な調査法は自分が面談に行くことだ。自分が転職希望者として動いてみる。「俺はニートじゃないけど」と思うなら、クラウドワークスでニートの人にバイトを頼み、実際に面談を受けてもらうという手もある。

これで先行者の広告戦略、面談内容、転職先まで全部わかる。人材エージェントが隠せるものはほとんどないのだ。

本気の試行錯誤

試行錯誤というと「軽く試してみる」と思いがちだが、違う。

野球選手がリハーサルを適当にやってうまくなるか?スポーツの練習試合で「負けてもいいや」と思って強くなるか?絶対にならないだろう。

試行錯誤でも毎回全力でやるべきだ。ここで必要なのは:

  1. 「絶対勝つ」というモード
  2. 結果を冷静に受け取るモード

全力を出してダメだったら、それは本当に無理なのだ。「今回は本気出してない」と言い訳すれば永久に結論は出ない。

例えばYouTubeなら、1本出して反応を議論するのではなく、20本出してから評価しなさい。その過程では全力で改善を続けなさい!

集客・面談・営業それぞれのポイント

集客で重要なポイントはこれだ。

  • 本気のクリエイティブを作る
  • 管理画面中毒になる

人間のビジネスへのモチベーションの多くは「管理画面の改善」だ。数値が伸びていく喜びが人を動かすのだ。

新しいクリエイティブを作って成果が出たときの喜びがドライブになる。短期的なリワードが人間を動かす実態だ。10年間報われなくても先を目指せる人間などほとんどいない。

面談ではどこまで時間をかけるべきかを計算しなさい。例えば、「8回面談までは大変だが黒字でできる」といった計算をすべきだ。

面談の「グリップ」も重要だ。問い合わせが来たら1分以内にコールバックするなど、必要な対応をしなさい。

自分はどんな「芸風」が合うのか見出すことも重要だ。

法人営業の経験がなくても心配しなくてよい。多くの人がやっていることで、慣れれば終わりだ。先輩からアドバイスをもらいながらやっていけば十分だ。

有力な情報を得る方法

  1. 先行者調査 - 例えばDMMが買収した「ハッシャダイ」という会社は同じコンセプトだった。彼らのやり方を研究せよ。
  2. 先輩に教えてもらう - 資金があれば、同じようなビジネスをやった人にお金を払って教えてもらうのが最速だ。XのDMで「30万円お支払いするので教えてください」とアプローチしてみなさい。
  3. 実際にやってみる - 事業立ち上げの初期は辛い。精神的にきついことが多い。だが全力で乗り越える期間はマラソンのように終わりがある。早いペースで走った方が早く終わるのだ。

質問2:スモールビジネスに飽きないのか?

スモールビジネスをずっと続けていくうちに飽きたりなどはありませんか?スモールビジネスというカテゴリー自体に飽きてきた場合はどんなことをしてみたいのか気になりました。

そんなことはない!目標を持ちなさい!

まず言いたい。そんなことはない!スモールビジネスという定義は非常に広い。「生きるのに飽きた」と言っているようなものだ。

この質問者に聞きたい。今、目標はあるか?

目標がないと辛いのだ。

自分の日々の生活に意味を見出せなくなり、虚しさに打ちひしがれる。全てが無意味に感じる。これはどんな文脈でも辛い。

何らかのストーリーを自分の中で作る必要がある。「ただ石を積んでいるだけ」では辛いが、「サグラダ・ファミリアを作っている」と思えば楽しい。質問者は「石積み」状態ではないか?

スモールビジネスを続けている人たちがどのようなモチベーションを持っているか、パターンを知りなさい!

パターン1:ビッグビジネスを目指す

売上30億、営業利益10億などの数字目標を掲げる。「なぜその数字なのか?」と聞かれても「知るか!大きいことはいいことだ!」でいい。

大きな目標は人々を統合させる力がある。上場を目指すのも同じだ。「なぜ上場するのか」と聞かれれば、ファイナンスや社会的信用などと言うが、本当は「統合の象徴」として機能するからだ。

会社が一つの方向に向かうには、明確な数字目標が効果的なのだ。哲学的な問いより、分かりやすい目標が人を動かす。

「なぜ行くのか」と問われれば、最終的には自分なりの答えは必要だが、頻度は少ない。多くの場合、「行くぞ、一兆!」と言っていれば会社はまとまるのだ。

パターン2:スモビジ兄貴の道

自分が1つのスモールビジネスで成功した後、横展開して弟子たちを作り、いろんな事業を広げていく道だ。

上場や売上目標ではなく、後輩たちのビジネスをサポートする存在になる。例えば「カフェバーをやりたい」と思ったら「おい君やってみろ」といった形で後輩にチャンスを与える。

これはホールディングスではないが、ふわっとしたグループの中心になる強烈なアイデンティティを得られる。業界村ごとに、そういった「あの人」がいるものだ。

パターン3:卓越性を発見して特化する

ビッグビジネスもスモビジ兄貴も「人間関係」の中で何かを見出す道だが、人間関係が得意でない人もいる。私はそうだ。

その場合、何をモチベーションにするか?私の場合は「創作活動」だ。本を書いたり、Xで発信したり、ブログを書いたりして理論体系を作る。これをビジネスにして売上が伸びていくと、自分のアイデンティティが肯定される。

私も事業が伸び悩んでいた時、上場会社の社長の友人に「武田はこういうのが得意だから、これをやった方がいい」と言われ、それをやったら大体の事業がうまくいった。

自分の卓越性、つまり「よく褒められること」に目を向けなさい!それを極めていく過程で、さらに自分の才能が磨かれ、評価も高まる。

引退はほとんど選ばれない

引退を選ぶ人はほとんどいない。人生の軸がなくなるからだ。

全ての仕事的活動から遮断されたら何をするのか?消費活動だけの生活は辛い。自分の卓越性を感じる機会がなくなり、友達も減り、知識も減っていく。それはいいことなのか?

また、数億円程度では実質的に引退するのは不安だ。インカムがなく資産が減っていくだけの生活は心配になる。

ただし、「スタンフォード客員研究員」のように人生を見つめ直す期間として1年間取るというのはありだ。自分の運命と卓越性を見つめ直す時間を作りなさい!

まとめ

質問1:フリーター・ニート向け人材紹介で起業するポイント

  • スモビジでは「大手のゴミ拾い」戦略はとても有効
  • 集客、面談、営業、それぞれで自分に合ったやり方を発明しなさい!
  • 試行錯誤は本気でやりなさい!
  • 先行調査を徹底的にやりなさい!
  • 管理画面中毒になり、短期的な報酬でドライブしなさい!

質問2:スモールビジネスに飽きないのか?

  • そんなことはない!目標を持ちなさい!
  • パターン1:ビッグビジネスを目指す。大それた理由はなくても、大きな目標は会社を一つにする。
  • パターン2:スモビジ兄貴の道。それぞれの分野の兄貴的存在は意外といるものだ。
  • パターン3:卓越性を発見して特化する。卓越性を活かせば、アイデンティティが肯定され、とても楽しいものだ。
  • 実際に引退を選ぶ人は少ない。資産が目減りしていくのは不安だし、単なる消費者は面白くないのだ。

他にも質問があれば、どしどし送ってほしい。

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