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M&Aを目指すなら読みなさい!属人性の高い事業を営むスモビジマンに贈るM&A虎の巻

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属人性の高い事業を営むスモビジマンに贈るM&A虎の巻

スモビジ界隈でよく耳にする「M&Aで〇億円のエグジット」──そんな成功譚に背中を押されて、小さく始めて大きく売ることを目指す起業家が増えています。

しかし、「売れるビジネス」とは何なのか?

属人性の高い営業代行業やコンサル業でも、高値での売却は可能なのか?

今回の相談者は、まさにその問いを抱えながら営業コンサルとして独立準備中のスモビジマン。

疑問に答えるのは、スモールビジネスの提唱者・実践者であり、複数の事業売却を経験してきた武田所長

「M&Aは目的ではなく、結果である」「属人性は敵ではない、自分だけのウェイ、田中(仮名)ウェイを作れ」──

1万字超の大ボリューム記事になりました。

コンテンツ

・事業は利益があれば売れる。利益創出しなさい!

・M&Aに夢を持ちすぎるのはやめなさい!

・高く売りたいなら「売らなくてもいい」状態を目指しなさい!

・立ち上げ期は属人性ブーストを上げなさい!

・「田中ウェイ」を発明しなさい!

・市場規模よりトッププレイヤーの売上を気にしなさい!

・売却を目指したい理由を明確にしなさい!

・人間関係のいざこざは覚悟しなさい!

・「シナジーの創出」は話半分に聞きなさい!

・会社経営を健全に楽しみなさい!

M&A前提の起業相談


武田:今日のテーマは「M&A前提の起業」です。ご相談者さんは、これから独立起業するというステイタスです。

早速お伺いしますが、なぜ最初からM&Aを意識されたのでしょう?


相談者:よろしくお願いいたします!

ビズライブラリーの「M&A」テーマのトークイベントに参加し興味が湧いたのと、自分の会社を上場させるというのはイメージが持てなかったことが理由です。

スモールビジネスで起業し、最終的に売るというのが想定される出口なのかなと思っています。

そして、いざM&Aとなった時に、「こんな会社が売りやすい」「売るつもりでやるんだったら最初からこうした方がよい」みたいな知識がありそうだなと思い、ご相談した次第です。


武田:ありがとうございます。先日、YouTubeで「スモビジを売るには」という回を収録しました。

一部被ってしまうところがあるので、そちらでもキャッチアップいただき、一般論的なところについては少々省略しながらお話しさせていただければと思います。 


事業は利益があれば売れる。利益創出しなさい!

武田:まず大前提として、法的な問題がある場合や、アダルトは別として、基本的に利益さえ出ていればどんな会社でも売れるものなんですよね。

「こういったようなモデルは売れる/売れない」という話、よく聞くとは思うんですけど、基本的に儲かっていれば売れます。


相談者:そうなんですか?


武田:はい。議論するべきは、売る時の倍率です。
最終的な会社価値の評価方法は色々あるんですけど、最も簡単なものは「営業利益の何倍」というような指標での評価です。

これはかなり簡単な式ですし、一般的なんですよね。その時の倍率っていうのは、例えば低いと2~3倍、高いと15倍とかです。

それが何倍になるかは、属人性や様々な独自性、成長性などによって考慮されて変動します。

そうすると、営業利益に掛け算するわけなので、売れる売れないの二元論で言えば、利益が出れば売れるという結論になる。

そして、利益に対して高く売れるか否かになってくると、更に色んなファクターが影響してきます。 

M&Aに夢を持ちすぎるのはやめなさい!

武田:最近本当によくM&Aに関して相談いただくんですけど、皆M&Aに夢を持ちすぎ!と言いたい気持ちは結構あってですね(笑)


相談者:(笑)


武田:やっぱり高く売れた事案が世の中に情報として出ていくんです。例えばDeNAのIRIAMとかそうですけど、「120億で売れて億万長者!」みたいな。
ただ、ああいったメディアでウケる事例は例外的なんですよね。


相談者:うんうん。


武田:ものすごくたくさんのディールがある中での上位ですから。

なんでしょうね、「オオタニみたいな生活したいから、僕も野球部に入部したい」みたいな話をしているように思える。

気持ちはもちろん分かる、私もオオタニみたいな生活したいですよ。

でもなんかそれって目標設定として機能するのかという(笑)


相談者:わかりやすい(笑)


武田:特にスモビジ売却においては、3~5倍で売却が成立するのが大半です。
ミラクルが起きることはありますが、様々な幸運や市況、本人の類まれなる独自性などが複雑に絡んで実現できたパターンで、再現性は高くないです。

最初から夢のない話になっちゃいましたが、まずはそれがM&Aというものだと理解し、あまり期待しすぎずやっていった方が、交渉も色々とスムーズに進むと思います。


相談者:はい!

高く売りたいなら「売らなくてもいい」状態を目指しなさい!

武田:ミラクルを起こす方法があるとすれば、「ハイボールを投げて、待つ」ことです。

「自分はいつまでに売却しなきゃいけない(したい)」というデッドラインをこっちから切らない。

向こうから資本業務提携したいという話を待ち、「自分はどちらでもいいけど、この条件なら考えます」とものすごくハイボール投げる。 

例えば、「利益5,000万だけど、8億じゃないと売りたくないです。なぜかって?だって僕、頑張ってきましたから!」と言い続ける。

これ。相場より高く売るには、これだけ(笑)


相談者:そうなんですか(笑)


武田:「その条件で折り合いがつきそうだったら、お話しましょう。折り合わなそうだったらまたの機会に」というやり方です。

ビズライブラリーでM&Aのイベントをやったときにゲストで登壇していた方々はこういうパターンですね。

ここで重要なのは、自分がそもそも売らなくてもいいと思えているかどうかです。

「早く売りたい」と思っているなら、その交渉は負けます。早く手放したい場合のM&Aは、基本的に交渉力が非常に弱いんですよね。

決裂が怖くてハイボールは投げられないから、妥協してしまう。

「僕はこの会社をいくら続けても全然構わない、もっともっと伸びると思っている。だけど、あなたが本当に本当にそこまで欲しいって言うんだったら、考えなくはない」というようなスタンスでないと、高く売れないですね。

そして、そのスタンスは、立ち上げ期から「M&Aをしたい」というモチベーションでやっていると、なかなか身につきませんよ。


相談者:なるほど。その自信というか、「8億じゃないなら別に売らなくてもいい」と思ってないと、8億にこだわれなくなっちゃって、結果的に2~3倍とかに落ち着いてしまうということですね。


属人性の高いビジネスのM&A

武田:今考えてらっしゃるのは何のビジネスでしょうか。


相談者:営業コンサルでの起業を考えています。


武田:なるほど。コンサルの場合のM&Aのポイントとしては、前提である「利益を生んでいるか」という部分と、「この会社って貴方がいなかったら売上ゼロになりますよね?」と言われない状態をつくれているかという部分です。

所謂、属人性がない状態ですね。

ただ、一旦まずM&Aのことは忘れた方が良くて、ひたすら会社を伸ばすことに注力した方がいいです。


相談者:うーん…コンサルという属人性の高いスキルが必要なビジネスを選んでしまってるが故に、いざ売りたいとなったときに困りませんか?

やっぱり社員がいて仕組み化されてないと、例えロックアップをつけたとしても値段は安くなるってことですよね。


武田:なりますね。これは明確に安くなります。売却先が上場会社で、監査が絡む場合は特に。

彼らは減損を出したくない。

そのため属人性の高い個人の会社の場合、極端な話、ロックアップ期間イコール減価償却の期間という風に捉えられちゃうケースもあります。

例えば、5,000万が利益出てる状態で、ロックアップ3年という約束で、高めに5億で売却できたとします。

3年で償却ということは、1億6000万を営業利益で出していかないと減損をくらうことになる。結構きついですよね。


相談者:そうなってくると、コンサル会社の売却はきついですよね。どうすればいいのでしょう。

立ち上げ期は属人性ブーストを上げなさい!

武田:せっかく成長させた会社を「属人性が~」とか言って買い叩かれないために、どうすべきか。
私の中では答えはもうあります。

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