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郵便切手を数えていた元公務員が、eスポーツ×福祉で年商2億円を作るまで(前編)

スモールビジネス経営者に、事業について遠慮なく質問をぶつける「突撃!スモールビジネスの舞台裏」。普段は聞けないリアルなお金の話や、現場で起きている生々しい意思決定に触れることで、あなたのビジネスにもすぐに活かせるヒントが見つかるはずです。(聞き手:Biz library代表 大坪拓摩)


今回お話を伺ったのは、株式会社ePARA代表取締役の加藤大貴氏である。「個性を発掘し、未来を作る」というミッションのもと、障害者eスポーツと福祉事業を掛け合わせ、グループ年商2億円規模の事業を築き上げた経営者だ。

しかし前職は、東京地方裁判所の職員である。1日8時間の業務のうち4時間を、郵便物の切手の枚数を数えることに費やしていたという。ビジネスの知識はゼロ、eスポーツ業界の知識もゼロ。それでも彼は「知らなかったからこそ、業界の大手が教えてくれた」と語る。

本記事では、人材紹介から福祉事業へのピボット、クラウドファンディングで手にした最初の108万円、「うちは高いです」と言い切る価格戦略、そして株主が100人を超えたことでベンチャーキャピタル40社以上から門前払いを受けた資本政策の失敗まで、社会性の高いテーマをいかにして継続可能なビジネスに変えたのか、その全過程を追う。

なお、今回は前編・後編の2回に分けてお届けする。
前編では福祉×eスポーツという着想の原点から、クラウドファンディングで手にした最初の売上、そして身を削るような資金繰りの日々までを。後編では、プル型営業への転換や価格戦略、組織づくり、そして資本政策の失敗と再起までを深く掘り下げていく。

こんな人におすすめ:

・社会課題型の事業を、継続可能な収益モデルとして成立させたい方
・業界未経験の領域で新規事業を立ち上げようとしている経営者
・会社員として働きながら、独立のタイミングを測っている方

目次


eスポーツと福祉、二階建ての収益構造

大坪:まず、簡単に自己紹介からお願いできますか。


株式会社ePARA代表取締役の加藤大貴と申します。

大坪:ありがとうございます。どのようなビジネスをされているか教えてください。

私たちの会社は「個性を発掘し、未来を作る」というミッションのもと、障害の有無に関わらず活躍の舞台を広げる事業を行っています。具体的には、eスポーツという対戦型のゲームを通じて障害者の「できること」を見える化し、就労に繋げるという取り組みです。

大坪:ありがとうございます。ただ、新しいビジネスなのでイメージが湧きにくい方もいるかと思います。誰に、いくらで、どういうものを売っているのか、という部分を教えていただけますか。

もともとはeスポーツのイベントを開催して、企業の人事担当者や経営者、つまり障害者を雇用しなければいけない企業と接点を作っていました。そこでスカウトしたい人がいれば繋いで、人材紹介のフィーをいただく。そういうモデルを成立させようとしていたんです。ただ、なかなかそこがうまくいかなくて。3年ほど前に、福祉事業という土台を作りました。障害者を支援すると、支援する人数に応じて国からお金が出る仕組みです。そこで財務的な基盤を作って、障害者eスポーツの方はソーシャルインパクトを最大化させる役割にする。財務とインパクトの二段構えにして、やっと継続性が得られるようになったという感じですね。

大坪:それだけ聞くと、すごく頭の良さそうなビジネスですね。その中で、実際にマネタイズできているのはどちらなんですか。

福祉ですね。マネタイズも福祉だけです。eスポーツは本当にマネタイズしにくい、ビジネスとして成立させにくいというのが6年間やってみて分かったので、収益は福祉で取るんだと役割分担をしています。

大坪:ありがとうございます。差し支えなければ、直近の年商や利益の規模感についてお伺いできますか。

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